7人のカテナチオからどう攻めるのか? 前3枚による攻撃の形と攻守における約束事の明確化が機能性のポイント。
前回の記事の続きです。
今回は更に細かい部分にまで、
言及してみたいと思います。

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FW:岡崎
OH:本田 俊輔
DH:今野 阿部 長谷部
DF:長友 闘莉王 中澤 内田
GK:楢崎

*これは説明のために仮定されたメンバーです。

前回の記事では、前3枚には誰が良いのか、と言うことには、あえて言及しなかった訳でありますが、1つにはその理由として、そこはその時に好調な選手を起用すれば良いから、と言うことではあった訳ですが、実際のところもう1つには、誰がそこに起用されても、いくつかの約束事を守った攻撃の動き、形、それをして欲しいから、と言うことでもありました。では、その私が考える基本的な約束事、その形とは何であるのか、と言うことですが、それは、

(1) 縦関係の2トップ+1枚のウイング型
(2) 3トップ型

という2つであります。(1)と言うのは、つまり、上記の選手で例えるならば、岡崎と本田が縦関係の2トップになっているなら、俊輔はウイング的なサイドに張る、と言うことで、岡崎と俊輔が縦関係の2トップになっているなら、本田はウイング的なサイドに張る、と言うことであります。ちなみに、本田や俊輔がウイング的に張る時には、それは左右どちらのサイドでも構わず、そこはその時の選手の判断によります。要するにこれは何かと言えば、前3枚のトライアングルが、正三角形ではなく、それを横にした形、横正三角形になる、と言うことであります。そしてこの(1)の形は主に、その3枚だけで得点まで繋げていこうとする形であります。

(A) トップ下の1枚がボールを受け、サイドの選手へ展開、そこからのセンタリングに1トップとトップ下の選手が入る形。(トップ下選手起点)

(B) サイドに張っている選手にロングフィードが通り、そのまま中央の2枚にクロスボールを入れるか、トップ下の選手がウイングの選手のサポートに行き、2枚でサイドを突破して中の選手へ入れる形。(ウイング選手起点)

(C) 1トップの選手に楔が入り、トップ下の選手がその落とされたボールを受け、ウイング的な選手がDFラインの裏へ走り込んで決める形か、更にそのウイングから1トップもしくはトップ下の選手にラストパスが出て決める形。(1トップ起点)

この3つ、つまり、3枚の内のどれかを起点とした攻撃パターン、これが(1)における基本的な攻撃パターン、つまり、攻撃における約束事のパターンとなります。ポイントは、変則的なトライアングルの形、1枚ウイングという形になっていることで、そこに3枚だけで得点を奪ってしまう機能性を生み出す、と言うことであります。

そして、(2)と言うのは、後方のSBやSDHから2枚が攻撃参加してくることで得点を奪うことを想定した形であります。3トップ、つまり、攻撃の起点は両サイドのウイング、と言うことになり、それだとサイドでも中央でも攻撃の人数が足りませんから、サイドのサポートに1枚、合計2枚、中央のゴール前に1枚、合計3枚、要するに5枚、それを必要とする攻撃の形であり、それを目的としたカウンター攻撃の形であります。

ここで1つ、なぜ後方から攻撃してくる人数を2枚としているのか? と言うことなのですが、それは、相手の攻撃に備えて、後ろに備えている人数を5枚以下にしたくない、要するに、基本的に、4枚のDFライン+1枚のアンカー、という形は崩したくない、と言うことであります。そして、ここにも1つの約束事を決めておく訳ですが、それが、

(3) 長谷部(SDHの1枚)は必ず攻撃参加する。
(4) もう1枚は前線にパスを出した選手がそのまま攻撃参加する。
(5) 常に後ろは4枚DF+1枚アンカーの形を維持する。

と言う3つであります。例えば、7人で相手のボールを奪うことに成功し、左SBの長友にパスを渡したならば、長友が前3枚の選手にパスを入れて、そのまま攻撃参加し、長谷部も攻撃参加する。そしてその場合には、今野が左SBの位置に入る。また、例えば、闘莉王が前3枚の選手にパスを入れて、そのまま攻撃参加し、長谷部も攻撃参加したならば、今野か阿部がその闘莉王が抜けたCBの位置に入る。と言うことであります。

そして、(3)の理由はなぜかと言えば、前3枚だけでの超速攻になった場合以外では、必ず後方からのサポートが必要でありますから、その時に必ず攻撃参加しなければならない役割の選手を決めておくことで、それがスムーズに実行されるためであり、また、(4)の理由はなぜかと言えば、その7人の守備選手の中から、もう1枚攻撃参加する時に、誰が攻撃参加するべきなのか、及び、誰が攻撃参加しても良いのか、その基準の明確化のためであると同時に、それによって、(5)を確実に守るためでもあります。

以上、と言うことで、少し急ぎ足な感じで、7人のカテナチオからどう攻めるのか? それを述べてきましたが、しかし、攻守と言うのは表裏一体なので、当然、守備のことにも言及する形となりました。そしてこれは、気が付いた人は、もしかしたら気が付いたかもしれないのですが、この思考は、フランスW杯大会で優勝した時のフランス代表、リッピ体制でトヨタカップを制した時のユベントス、それを参考にして考えられています。それから、近年CWCで優勝した時のACミラン、そして、現在のチェルシー、これも少しだけ参考にして考えられています。
それから最後にもう1つだけ付け加えておきますすと、このスタイルであっても、前線が全く守備をしない、と言うことでは全く無く、そこは当然、前線からの守備もします。守備の設定ゾーンを低い位置にするとは言っても、最終ラインを極端に下げてしまうということではありませんし、縦のコンパクト性というものは重要な訳でありますから、その中では前3枚の選手も守備はしっかり担います。但し、極端に低い位置まで下がって守備をすることはしない、と言うことであります。


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関連記事
【2009/06/15 11:45】 | 岡田ジャパン考察 | トラックバック(0) | コメント(5) | page top↑
<<意図的に攻めず、ニュートラルな状態を作り出す、と言うことについて少し考察。 | ホーム | 日本代表が現在の日本人選手の能力で結果を求めていくためには「7人によるカテナチオを完成させる」のが良いのではないか?>>
コメント
ナエトルさん、コメントありがとうございます。

世界の強豪国であっても、
カウンター攻撃の威力を持っているチームが、
やはり結果を残していると思いますし、
それを考えれば、
日本代表も当然その威力を高めるべし、
と言うことですよね。
そして更には、
日本人選手の場合には、
多くの約束事があるサッカーをした方が、
より結果が出るようにも感じますよね。
【2009/06/21 22:14】 URL | 管理者jube #-[ 編集] | page top↑
7人によるカテナチオ◎
初コメいたします。秀逸ブログ、いつも楽しみしている輩であります。

現状の個の力を前提に考えるなら、W杯本戦を戦い抜く策として「7人によるカテナチオ」は不可欠ですよね、確かに。

先日の豪州戦などの采配をみるに、岡田監督は憲剛システムにこだわりをもっているように思えます。
報道によりますと、岡田監督は強豪国との対戦を談判とのこと。真意は分かりませんが、「憲剛システム」の可能性、日本のポゼッションサッカーの可能性を試してみようということかもしれません。ムリっぽいですが。

あと一年で「7人によるカテナチオ」を完成させるのはキツイでしょうが、2014年に向けた日本の方向性はそれがよいと思います。それから、W杯予選など対アジア戦でも基本的には「7人によるカテナチオ」でよいと思います。

ただし、というか、そのためには「攻守における約束事の明確化」はぜひ徹底させたいですね。

対戦国のレベル次第でDHを人選すればよいかと思いますし。
W杯本戦では、稲本潤一(以前のようなパフォーマンスを発揮してくれれば)の強さが欲しいですね。阿部の代わりに。

乱文いたへん失礼しました。
【2009/06/21 04:01】 URL | ナエトル #-[ 編集] | page top↑
エイティさん、コメントありがとうございます。

三角形が、まるでアメーバーのように動く、それが最も良い訳ではありますが、まずは基本的な形の中で約束事を守る、と言うことが前提としてあって、しかし、まともな三角形の形では難しいところがあると思いますから、「(1) 縦関係の2トップ+1枚のウイング型」、この形で、基本形から変則的な形にしてしまう、それで少ない人数でも得点を奪ってしまおう、と言うことですね。
それから、個人的には、今の日本代表と言うのは、あまり攻守のバランスが良いとは感じないところです。それは、ボランチのところであったり、左サイドの中盤が空き易い、という部分で、それがあるからこそ、攻められると押し返せない、という状態が起きていると思いますし、攻撃面では、やはり、同じタイプの選手が2~3人並んでいるということで、攻撃のバリエーションが少ない、そのように感じるからですね。また、ロースコアを狙っていく方が良いのか、そうではない方が良いのか、と言うことに関しては、あまり考慮していません。カウンタースタイルであっても、完成度の高いカウンタースタイルと言うのは得点力も高くなりますから、理想的には、そのようなカウンタースタイルになってくれることが、日本代表が最もW杯で良い結果を出せるのではないかと考えています。


nozさん、コメントありがとうございます。

まさにそうですね。「長谷部・俊輔あたりのバックアップメンバーに山田直樹あたりが成長してきてくれるとうれしい」、そのように私も思います。そして、「前線の守備はプレスじやなく守備サイドの限定や逆サイドへのロングボールを切る程度にしたいものですね」、この部分も、私もそう考えています。運動量に頼るのではなく、賢く効率的なフォアチェック、これを前線の選手には望んでいて、がむしゃらに守備をして欲しい時は、自分がボールを奪われた後の奪い返しにいく守備の時、その時だけであると考えています。そして、前線の3枚は、状況によって選手が変えていく、もしそれが出来なければ、交代采配で変えていく、そうすることによって、変幻自在の攻撃を生み出して欲しいなと思います。
日本には守る文化が無い、カウンター攻撃が下手、実際のところは、そこが最もネックになるところなのですが、しかし、鹿島や浦和と言うのは、守備面では、日本人だけで強い守備を生み出しているということはありますし、攻撃面に関しては、本来ならば、日本には小兵のFWが多い訳ですから、カウンタースタイルがハマるはずですよね。ですから、そういうものを確実に活かしていけば、世界を驚かせるカウンター攻撃も、充分可能性は高いのではないかと考えています。
【2009/06/15 21:45】 URL | 管理者jube #-[ 編集] | page top↑
かなり良いですね
 個人的には、長谷部・俊輔あたりのバックアップメンバーに山田直樹あたりが成長してきてくれるとうれしいです。
 格上のチームが攻撃に手数をかけず、引いてしまった場合でも、SBが上がれる点も良いと思います。
  前線の守備はプレスじやなく守備サイドの限定や逆サイドへのロングボールを切る程度にしたいものですね。
 リードされた時にも、7枚をなるべく崩さず、(3)で言う3トップをよりFW的な選手に交代する。出来れば高さのある選手、ほっといても闘莉王が入りそうですが
 いずれにしても、今までのコンセプトはフィジカルのない日本がアジア相手に引かれたときの為のものであってほしいです。
 W杯では、如何に点をやらないかということは重要。心配な点は、やはりまだ日本には守り切る文化がない、カウンターが下手。というところですが、守備ゾーンの徹底、役割の明確化と考えて走る。そのあたりが出来れば不可能ではないと思います。
【2009/06/15 19:46】 URL | noz #-[ 編集] | page top↑
一組の三角形によるチームへの相乗効果
初めてコメントします。毎日更新されていて、その上に中身の濃いブログですね。素晴らしいと思います!応援クリックというものも押させていただきました。

さかのぼって関連記事を色々と読んでみました。今回、管理人さんが挙げた攻撃時の約束事の一例は効果的なものですね。

理由は対カタール戦において、中村憲が岡崎に対して必要以上にスルーパスを出すことを意識していたので、私の目には中村俊がとてもやりづらそうに見えました(個人的には憲剛選手のプレースタイル好きですよ)。これからW杯に向けて、当落線上の選手のアピールが過剰になり試合がおかしくなる場合もあるので、攻撃時の基本的な約束事には賛成です。大事な強化試合となる欧州遠征もありますし。

さて、ここで一番大事なのはこの約束事が相手DFの状況やレベルの高さによって、それが果たせないときの各日本選手のアドリブ的な動きになると思います。つまりはオフザボールの動きです。このオフザボールの動きに関して、私が最も日本代表に相応しいと考えるのが森本、中村俊、山田直です。彼らなら管理人さんのおっしゃる「正三角形」を森本を頂点としてどの角度からでも創っていき、ゴールへのチャンスをもたらしてくれるでしょう。J、セリエAの各試合を見ても、彼ら3人にはそのポテンシャルが十分にあります。また日本代表で、この3人のうちのそれぞれ2人ずつの連携を想像するとわくわくします。もちろん、他の選手もこれにリンクをする事で別の三角形が次々と出来ていき、日本代表が目指す連動するサッカーになるのではと思います。

最後に、最近のガチである最終予選(親善試合は除く)を見ても日本の失点はある程度仕方がないと思います。フォーメーションも含めて、現在の日本の攻守のバランスは個人的に非常に良い感じだと思います。ただ何か一つ攻撃時の歯車が足りない(個人的には山田直のようなフォローする動きを含めたサッカーセンスだと感じています)。そこがこれからの日本代表選手を選考する際の核としてもらいたいです。グループリーグでの勝ち点の事もありますし、日本代表ならロースコアでの試合展開は避けたいところです。ただし仮に、強豪ぞろいで引き分けなしの決勝トーナメントに進めたら、管理人さんのいう7人のカテナチオ戦術が一気に現実味を帯びてくると思います(隠しオプションとして)。このトーナメント1回戦で日本が勝つと過去のベスト16の成績を上回りますし、その時が日本代表が世界を驚かせる瞬間(の始まり)になるのかもしれませんね!
【2009/06/15 19:38】 URL | エイティ #uoCub1hQ[ 編集] | page top↑
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