シリア戦 「個々の選手の守備能力の低さが目立った。攻撃的に戦いたい場合に必要なのは個の攻撃力ではなく個の守備力。」
試合 :AFC Asian Cup 2011 - Group B
開催日:2011年1月13日
結果 :日本代表勝利
スコア:「2-1」
得点者:長谷部 カティブ(PK) 本田(PK)

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FW:     前田
MF: 香川  本田  松井
MF:   遠藤  長谷部
DF:長友 今野  吉田 内田
GK:     川島

FW:     前田
MF: 岡崎  本田  松井
MF:   遠藤  長谷部
DF:長友 今野  吉田 内田
GK:     川島

FW:     本田
MF: 松井      岡崎
MF:   長谷部 遠藤
DF:長友 今野  吉田 内田
GK:     西川

FW:     本田
MF: 遠藤      岡崎
MF:   長谷部 細貝
DF:長友 今野  吉田 内田
GK:     西川


守備的に戦うよりも、攻撃的に戦う方が、個々の選手の守備力というのが問われてきますが、その能力の低さが目立っていたなぁと思いますね。守備的に戦う場合でも攻撃的に戦う場合でも、その違いは守備の設定位置にあるだけであって、重要なのは守備力。相手のボールを防ぎ、奪う、その力かどれだけあるのか、それが主導権を握って戦えるかどうかの重要な要素になってきますから、この試合などを見てしまうと、まだまだ日本代表は攻撃的に戦えるチームではないなぁ、という気が強くしました。
どこのシーンがどうだったとか、どこのプレーがどうだったとか、そういう事ではなくて、全体的に、1対1での守備対応力が低い。ハッキリ言ってしまえばヘタ、という感じでした。香川、本田、松井、遠藤、守備力はやはり低い。中盤の選手の守備力が低かったら攻撃的に戦う事は難しいですよね。
長友はW杯の時に見せていたような守備の強さが見られず、対応がとても雑で、ヨルダン戦からそれが気になっていましたし、吉田も、目測に甘さがあるし、1対1の対応の時に相手の動きを封じ切れていない、少し前の内田のような、相手の背中に付いた時の守備対応に悪さがある。
本来ならば危ないシーンにはならないシーンで、危ないシーンになってしまう事が多い。そこにきちんと対応に行っているから、1人ではなく2人で行っているから、これは大丈夫だろうという感じで見ていると、なかなかボールが奪えなくて、時にはそこから抜け出されてしまって、ピンチになってしまう。
シリアの最後のところでのクオリティが低かったので、思わず「やばい!」と叫んでしまうようなシーンはありませんでしたが、相手が脱アジアレベルの個人技を持つ選手だったら、確実にシュートまで持って行かれていただろう、そして、そのシュートを決められていた可能性も高いだろう、そういうシーンが少なくない数ありました。

そして、そういう個々の守備能力の低さというものが、PKを取られたシーンに出てしまったと思う訳ですね。長谷部のバックパス。確かに中途半端でした。GKへ戻したのか長友に戻したのか、距離、スピード、中途半端でした。しかし、それよりも問題だったのは、その前に吉田が1対1のところで競り負けたこと。今野が競り負けたこと。そして、長友のその長谷部のバックパスに対する対応、判断、それが悪かったこと。最後に、内田、吉田、今野、という3人が、危険を察知してゴール前に戻らなかったことでした。
少ない人数で守っている時には、この時には、今野と吉田の2人だけという状態から、次に長友と内田が加わってきて、最後に長谷部が加わってきた、というシーンでしたが、その最初の今野と吉田で守っている時、そこでボールを奪ってしまうか、もしくは、ボールを奪えないまでも、相手の動きを止めてしまうか、それぐらいの個の守備能力というのが無ければ、とても日本が攻撃的に戦うという事はできない訳ですよね。
そして、長友が自分と相手とGK川島と、その距離を考えて、また、ボールのスピードを考えて、これは自分がサイドラインへ蹴り出すべきだ、と判断できていれば、または、躊躇せずに全速力で戻ってボールに触りクルッと前を向けていれば、何でもないシーンだったと思う訳です。
更には、長谷部がバックパスを出した時、状況は完全にフィフティーフィフティーでしたから、相手にボールを取られたという場合であっても、川島もしくは長友がボールを先に触れられたという場合であっても、内田、吉田、今野、という3人は、その場に留まっているべきではなく、カバーするためにゴール前に戻るべきであって、もし3人の内の1人でもゴール前に戻っていれば、川島が無理に飛び込んで相手を倒してしまうという状況にはならなかったと思いますから、それでもちょっと危なかったなぁ、という感じのシーンで終えられていたと思う訳ですね。

やはり、攻撃的に戦うという事は、守備的に戦う場合よりも、個々の選手の守備力というのが必要とされてくる、という事ですよね。香川に代えて岡崎という交代も、守備面というのが理由だったと思う訳です。SHというのは当然トップ下よりも守備のタスクが多く、守備能力というのが求められてくる。
従って、そもそも、香川をSHとして起用する事自体がどうなんだろうか? という事であったり、3ボランチではないシステムにおいて、2ボランチというシステムにおいて、香川をSHとして使い、また同じようなタイプの松井という選手も反対のSHとして使う、それはどうなんだろうか? という事はもちろんある訳ですが、とにかく何にしても、1点をリードしたという状況において、香川の守備の時のパフォーマンスを見て、これは岡崎に交代した方が良いだろう、という判断だったと思う訳ですね。
ハッキリ言ってこの試合、守備で良かったという選手は1人もいませんでした。内田と長谷部の2人だけは、全体的には良かったと思いますが、しかし、失点シーンではミスを犯しましたから、もしくは、失点シーンではベストのプレーができませんでしたから、これは大きなマイナス評価になったように思います。

そして、今度は攻撃に関してですが、攻撃に関しては、ヨルダン戦から改善されていた部分、良くなっていた部分と、ヨルダン戦から改善されていなかった部分、悪いままになっていた部分と、両方がありました。
良くなっていた部分の1つは、全体的にプレースピードが上がっていた事。アグレシッブに動けていた事でした。得点シーンがそうだったように、先に仕掛けて、セカンドボールにも相手よりも速く反応し、トップスピードでプレーする、そうする事で、シリアの選手の足を止めてしまう事ができ、最後は、松井が相手を選手をブロックし、長谷部が冷静にGKや相手DFのいない場所を狙ってシュートを撃つ。とても良い攻撃でした。本田の縦への突破、松井のプレー、香川のあのスピードながらのボールコントロールと切り替えし、そして、長谷部のシュートの上手さ、全てのプレーがハイクオリティでした。

また、もう1つ良くなっていた部分は、本田の動きでした。ヨルダン戦とは全く異なり、とても幅広く動いていました。左右に大きく動き、また、上下にも大きく動いて、とにかくボールをフリーで受けてボールを捌くという、トップ下が担わなければならない攻撃の起点としてのプレーができていました。
本田がこうしたプレーをした背景には、本田がサイドに出たり3列目まで下がったりする事によって前の中央にスペースを空ける、つまりは、香川が中央に入ってプレーするためのスペースを空ける、そういう意図があったのではないかと思いますが、それが上手くいっていたかというのはちょっとあれでしたが、とにかくその意図はどうあれ、トップ下本田がボルシア・ドルトムントの時の香川のように幅広く動くようにしたというのは、攻撃を機能させる要因にはなると思う訳です。

しかし、前述したように、悪いままになっていた部分もありました。それは、前田のパフォーマンスが悪いという事と、それにも関係してきますが、やはり、裏を狙っている選手がいない、という事ですね。
この試合では長谷部の攻撃におけるパフォーマンスの良さというのが、ヨルダン戦に引き続き目立っていて、ヨルダン戦よりも更に良かったと思いますが、その長谷部がパスを出そうとルックアップした時に、前田は動き出していない、もちろん裏も狙っていない、更には、香川も松井も本田も裏を狙っていない、裏に走り出さない、というシーンが何回かありました。
前田はボールの収まりも悪く、空中戦でも勝ててなく、決定力にも欠き、自ら先に動き出すという事を全くしないので、攻撃のブレーキになっていました。また、松井は、ザッケローニに指示されてやっと上下動のプレーを増やすようになりましたが、それまではボールを足下に受けてドリブルとパス、というプレーだけをやっていて、行ける場面であっても縦に仕掛けずクロスを放り込んでいました。
香川も、SHであるならば、まずは縦に仕掛けて行く、縦にフリーランニングして行く、という事が重要な訳ですが、やはり松井と同じように、サイドでボールを足下に受けてパスをするか、中へドリブルして行くというプレーが圧倒的に多く、囲まれてボールをロスしたり、バックパスをするというシーンが目に付きました。
本田とのワンツーのような形で縦へ抜け出して行こう、というプレーはありましたが、そういうプレーだけを狙うのではなく、まだボールが遠くにある状態の時でも縦に走って行く、または、バイタルに入って仕事をしようというプレーだけではなく、相手のDFの背後でも仕事をしようというプレーをする、それが必要であったと思う訳です。

と言う事で、試合の方は、審判の判定の微妙さもあって、両チーム共にスッキリしない試合となりましたが、とりあえず、10人になってしまった日本代表が、スコア「2-1」、辛くも勝利を収めるという事になりました。
しかし、結果は最善のものになりましたが、内容は散々でした。特に守備面の内容は酷く、これでは、「今の内容ではとてもアジアカップを優勝できるとは思えない」、と長谷部が試合後のインタビューで言うのも然りかなと思います。
何度も繰り返し言うように、攻撃的に戦うならば、個の守備力というのが、守備的に戦う場合よりも強く求められてくる。そして、アジアでは、日本は嫌でも攻撃的に戦う事を強いられる事が多くなる訳ですから、どうしても少ない人数で守り切れる個の守備能力というのが必要になってくる。
せめてアジアの中では、圧倒的に高いというぐらいの個の守備能力を身に付けなければ、これから先も日本はアジアの中で苦しい試合をずっと強いられる事になる、そのように私は思います。攻撃的に戦いたい場合に必要なのは個の攻撃力ではなく個の守備力。そのように私は強く強く思う訳であります。

* 選手評価は次回。




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【2011/01/14 11:45】 | ザックジャパン試合 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
<<シリア戦選手評価 「良かったのは本田と長谷部と岡崎と内田。今の日本代表は中盤に意識が集まり過ぎている。クレバーな守備が必要。」 | ホーム | ヨルダン戦後の長谷部と遠藤と松井のコメントから、能動的にリズムを生み出す、縦の幅と斜めの動き、切り替え、という事について。>>
コメント
w杯のような 集中力が必要かなとおもいますね。守備も攻撃のパスも。

とくに 内田、松井のところでミスしカウンターというところがなんどもありました。

壁のラインの作り方にかんしてもバラバラ

相手なりに戦ってしますのが日本の特徴ですかね。  パス、トラップ、パスでは バイタル付近での攻撃にもスピードがでません。

サウジ戦どうかわるかまたたのしみです。
試合がすくなくて監督はきついとこだとおもいますが。
【2011/01/14 21:59】 URL | 123 #-[ 編集] | page top↑
最大の問題は前線の組み合わせ。
おっしゃられたようにスタメンのメンバーに裏つまりオープンスペースで勝負できる選手がいない。それがアジア杯のメンバーでできる選手が岡崎と李のみ…。少なくともどちらか1人は使わないと攻撃は機能しない。これはもう明白。なぜザックが気付かないのか…。

前田にしても本田、香川がバイタルでボールを受けてしまうので、引いて楔を受けれない。
ならトップはどういう仕事が要求されるのかと言うと、裏を狙ってバイタルのスペースを2列目の選手のために空けること。でもそれなら李を使えって話になるわけで。前田の低調は起用法の悪さも大きく関係している。

香川はボールを貰ってからが勝負の松井と違い、ボールを受ける前(正確に言うといかにディフェンスの嫌な所でボールを受け、速く、前に向かってプレーするか)が勝負。なのにその受けたいスペースに本田、前田が入ってきてしまう。それぞれの選手がお互いがプレーしやすいように(例えば、おっしゃられたように、本田が広い範囲で受けるように心がけるようにする等)してしまえば、それはそれで個々の良さを消してしまう。それならば思い切って選手を入れ替えた方が良いわけです。

今のメンバーで組むならば、トップに李を置いて、トップ下に香川(本田)、右に松井、左に岡崎が良いと思います。

ディフェンスに関しては、おっしゃられるように相手が引いてボールを持たせる状況下においては課題がメンタル面を含めて山積みでしょうね。ただ基本的にはザックが定着させようとしてる、4-4のブロックで作る欧州式ゾーンディフェンスで問題ないと思います。
【2011/01/14 19:44】 URL | √Kyo #-[ 編集] | page top↑
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