プレイバックジーコジャパン ⑬
イランとのW杯最終予選の消化試合に勝利し、予選1位突破を決めたジーコジャパン。しかし、W杯本番まで9ヶ月、最後の総仕上げとなる強化試合で、かなりの暗雲が立ち込めることになる。指揮官ジーコはこの時に生じた「迷い」を解消できずW杯までなだれ込んでしまう。更迭するには遅過ぎて、その決断はできず、苦しい9ヶ月間となった。

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2005年8月17日 独W杯アジア最終予選 日本 VS イラン

すでに日本、イラン共にW杯出場を決めており、どちらが予選1位で通過するかをかけた戦いとなる。しかし、消化試合的な色合いも強く、両国共に海外組は召集されず、1軍半から2軍程度の戦力での対決となった。日本の先発は、GK川口、以下、宮本、田中誠、中澤、遠藤、福西、加地、アレックス、小笠原、玉田、大黒。ベンチには、巻、本山、今野、阿部、駒野、茂庭、楢崎が入った。イランの注目は36歳アリ・ダエイ。日本は予選1位通過できるのか?そこが注目です。
先制点は日本。左サイドをドリブル突破した玉田のセンタリングに大黒が前でつぶれると、その裏につめていた加地が丁寧にボールをゴールに流し込んだ。さらに追加点も日本。後半、CKからのボールを二アで大黒があわせて2-0とした。しかし、その直後に中澤がアリ・ダエイを倒しPK。ダエイがきっちり決めて2-1となった。そこから日本の疲労が目立ちはじめ、イランが猛攻を仕掛ける展開となる。ジーコはそれに対し、今野、阿部、などボランチ選手を投入して逃げ切り態勢に入った。ロスタイムは3分。そのまま日本は逃げ切り2-1と勝利した。
これで雪辱も果たし、予選リーググループ1位も決めて優秀の美を飾ることができた。さて、ついに目指すはドイツW杯。W杯まで約1年、是非とも決勝リーグまで残り、ベスト16とは言わず、ベスト8ぐらいまでは期待したいものである。

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日本人選手評価短評(10点満点)

大黒:5点:本領は危機的状況で発揮されるのか?ガンバのときのように良い形でボールを受けられない。
玉田:5点:アシストするも、ドリブルする場所が悪い。
小笠:5点:無難なパスで貢献していたが大きな仕事はなかった。
三都:4点:ドリブルとセンタリングまでの動作にパターンが少ない・・・。
加地:5点:代表初得点。しかしそれ以外には見せ場少なかった。
福西:4点:良い時と比べるとまだ動きが鈍く仕事量が少ない。
遠藤:4点:良いパス出しもあったが、後半はスタミナ切れ。
中澤:5点:PKを与えてしまったが高さでは存在感あり。
田中:5点:とても安定している。
宮本:5点:一番気迫が前面に出ていた。
川口:5点:安定していた。
阿部:時間短評価外
今野:時間短評価外

この試合で目立っていたのは日本代表選手ではなく、イラン、36歳、アリ・ダエイだった。前半終了間際にゴールバーに当るアンラッキーで得点にはならなかったが素晴らしいシュートを放ったり、中澤を背負いながボールキープしPKを獲るなど、さすがと言えるプレイを見せていた。また、勝負に対する気迫もよく、イランチームを引っ張っていた。アリ・カリミ、ハシュミアン、マハダビキア、ザンディ、など新しい世代のスターが続々と出てきて、その存在に陰りが見えはじめたことも確かだが、今日の試合を見る限りでは、まだまだ危険な選手であると強く感じた。

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2005年9月7日 日本 VS ホンジュラス

W杯予選が終わり、このホンジュラス戦からW杯本大会に向けて本格的にチームを強化していくことになる。ジーコは戦前合宿を行ない、4-4-2、海外組のテスト場とホンジュラス戦を位置づけた。高原、柳沢、中田英寿、中村、中田浩二、稲本、アレックス、宮本、中澤、加地、楢崎、という先発メンバーで挑む。
試合はいきなりホンジュラスの2得点から始まる。アレックスサイドを簡単に破られ2得点。このままではどうなってしまうのだろうと心配されたが、日本も稲本のシュートのこぼれを高原が決めて1-2とした。しかし、前半終了間際にも中田英寿のミスからボールを奪われ3点目を献上して前半を終えた。
後半開始早々にセットプレーから柳沢が決めて2-3。その後もホンジュラスが1点追加し、日本も、柳沢、中村(PK)、小笠原、とゴールを決め。結局スコア5-4という大味な試合は日本の逆転勝利という結果で終わった。
しかし、それにしても酷い試合だ。今まで観た日本代表試合の中でもワーストランクに入るぐらいの酷い試合だった。これではまるで練習試合。日本の守備も崩壊していてザルなら、ホンジュラスの守備も崩壊していてザル。アレックス、加地のサイドを同じような形で崩されて3失点。ヒデの凡ミスで1失点。日本の2得点はセットプレーからだが、ホンジュラスの守備があまりにもお粗末。高原のゴールも偶然の産物に近い。柳沢の2得点目のゴールも小笠原のゴールも、ホンジュラスの選手がまったく日本の選手をフリーにしていてプレスが無い結果生まれたもの。さらには、強化試合にも関わらず、ジーコは最後スリーバックに戻し、守りをかため逃げ勝つ始末。強化試合で内容より結果を求めてどうするのだろう?とにかく観ていて腹立たしいこと、この上ない最悪の試合だった。
「4-4-2、海外組」またこれに固執するジーコに戻ってしまった。これで今まで積み上げてきたものが最初に戻ってしまったのだ。どの最初かと言うと、ジーコジャパンの初戦であるジャマイカ戦に戻ってしまったのだ。ジーコは何度同じ過ちを繰り返すのだろうか?「海外組中心の4-4-2」は機能しない。「国内組中心の3-5-2」は結果を残してきた。これがこの3年間で日本代表がたどり着いた答えではなかったのだろうか?それをベースに、さらなる個人能力のアップ、組織力のアップ、連携力のアップをすることが、W杯本大会までに成すべき強化であって、理想を求めて新たなことに挑戦すべき時期ではないと思うのである。ましてや、過去の失敗を繰り返すことなど、言語道断である。

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日本人選手評価短評(10点満点)

高原:5点:ゴールは決めたが動き鈍く仕事量が少ない。
柳沢:6点:2得点は評価したいところだが、仕事の質を見るとき、悪くもなく良くもなく・・・。
中村:6点:このシステムでは活きない。
中田:5点:(英寿)攻撃的MFとしては3点。ボランチになってからは中盤の底でチームを安定させたが攻守に中途半端。
稲本:3点:スランプか?
中田:5点:(浩二)積極的なロングシュートやセットプレーでの高さは評価できるが、守備的な面では役不足。
三都:4点:2失点。1アシスト。コンデションも上がらずスタメン起用は疑問。
加地:4点:一対一で簡単に裏を取られてはいけない。
中澤:4点:高さではなく、テクニックとスピードで勝負してくるFWへの対応が課題。
宮本:3点:スリーバックでしか機能しない選手。
小笠:5点:4-4-2システムに慣れているためか動きはスムーズだった。
玉田:時間短評価外
大黒:時間短評価外
田中:時間短評価外

何故日本代表(または日本人選手)は4-4-2システムで機能しないのか?その答えは複雑で小難しい。なかなか、一言で解説することは困難である。例えば、その理由をいくつかあげてみると・・・、4-4-2ダブルボランチシステムを採用する場合には、FWには前線で起点となる力があるFWとストライカー的役割をするFWの組み合わせが必要。攻撃的MFには中盤でのゲームメイクや前線へのパス出しだけでなく、ドリブル突破力や得点力が求められる。ダブルボランチの場合、攻守の役割を分担するか、交互に攻守を入れ替える連携を確立させる必要がある。サイドバックには攻守にバランスがとれた選手が必要。などがある。しかし、選手の特長を重視すれば別の理論も成り立つので、パターンは無限にあると言ってよい。したがって、明確に答えを出すのが難しいのだ。しかし、このホンジュラス戦だけに絞って考えるならば、その答えは説明できる。まず、高原と柳沢が同じ動きと役割をしてしまっていて、位置も横の関係になってしまっている。どちらかが中盤に下がるなり前線で起点になるなりしなければ攻撃が機能しない。次に、中村とヒデに得点力や縦へのドリブル突破力がないので攻撃に厚みがない。ボランチも稲本と中田浩二の連携がいまいちなので攻守に中途半端で機能していない。ボランチの守備が中途半端なので、中澤、宮本のセンターバックも機能しない。本来なら、中澤がゴール前で壁になり、宮本がカバーリングしなければならないが、横並びの機能しない壁になってしまっている。加地とアレックスは4-4-2のサイドバックと3-5-2のウイングハーフの攻守の役割ちがいを把握しきれていない。などである。
はっきり言って、W杯本大会までに個人能力が飛躍的に向上することは有り得ない。今ある戦力に見合ったシステムで戦うのがベストだと思う。今ある日本人戦力を考えるとき、「4-4-2」より「3-5-2」の方が選手たちの能力を引出せるのではないだろうか。

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2005年10月8日 ラトビア VS 日本

9月7日ホンジュラス戦で5-4と勝利したが、守備が崩壊したジーコジャパン。守備重視にすれば得点力不足に悩み、攻撃重視にすれば守備が崩壊する。なかなかバランスのよい完成した形を示せないが、このラトビア、ウクライナの欧州遠征でジーコジャパンを完成させられるだろうか?今回は海外組中心。スタメンは、土肥、中田浩二、田中、茂庭、駒野、稲本、中田英寿、松井、中村、高原、柳沢、4-4-2、中盤はダイヤモンド型で挑む。
前半いきなり日本の先制パンチで始まった。高原のロングシュートが相手の意表をつき先制点をあげる。ラトビアは動き鈍く攻撃も守備も緩慢で日本ペースで前半を終えた。後半も日本が優位に試合を展開し、柳沢がペナルティーエリア内で倒されPKをゲット、中村が決めて2-0とした。
しかし、試合はここからが本番だった。ラトビアがFWに高さのある選手を投入すると流れがラトビアに傾く。さらに、日本選手のスタミナが切れ始めると、ラトビアが完全に攻勢へと転じる。そしてCKからラトビアが1点差に追いつくゴールを決めると、後半44分、日本のミスからボールを奪うと同点となるゴールをあげた。試合はそのまま引き分けで終了。2-0から2-2へ追いつかれる痛いドローとなった。
2-0となっても、その試合内容を見れば、おそらくサッカーをよく知る人からすれば、このような結果になることは十分予想できたと思う。まず一番最初に感じたのは「無駄なパスの多さ」だ。意味のないパス回しが多過ぎる。ドリブルで前へボールを運ぶことをしないで、止まっている近くの選手へのパスが呆れるほど多い。同点となるミスもこの無駄なパス回しから生じたものだ。また、プレッシャーの無い場面でのダイレクトパス、プレッシャーがかかっている狭いスペースでの細かい無駄なパスが本当に目立っていた。攻撃では2点奪ったが、どちらも個人技で、チームとして流れの中から生まれたものではない。
また、選手の起用法とシステムにも問題が残る。4-4-2を採用する場合、中盤ダイヤモンドの左右MFには、運動量、ドリブルでの突破力、縦へのスピードが要求される。左MF松井には縦へのスピードがあるので機能していたが、右MF中田英寿には縦への脅威がない。右サイドバック駒野やFWへのスルーパスばかり狙うので、中田のところでリズムが送れてしまう。さらに守備面でも、ワンボランチなので、ダブルボランチのようにサイドバックが攻撃参加することはできない。サイドバックのカバーを松井や中田英寿が意識してしまうと持味は消えてしまう。そういう意味からもダイアモンド型で中田英寿をサイドMFとして起用しても機能しない。もし中田英寿を活かすなら、FWかトップ下であるべきだ。しかし、そこまでして起用するべきか?という疑問はあるが・・・。
中村と柳沢が前戦で上手くボールキープできていたので前半は良かったが、後半になると、スタミナ切れでパフォーマンスが急落してしまう。これも克服できてない課題の一つだ。韓国と日本の違いはここにある。韓国が90分走り回るスタミナでW杯ベスト4まで躍進したのに対して、日本はのプレスは後半20分までしかもたないので、必ずと言っていいほど最後競り負ける。今回も前回も同じパターンで内容の悪い試合を繰返しているのだ。
はっきり言って課題は山積み。次回はウクライナ戦となるが、この課題を一つでもクリアしてほしいと思う。W杯直前になって「ジーコ更迭」などという文字が新聞におどらないことを祈るばかりだ・・・。

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日本人選手評価短評(10点満点)

高原:6点:復調示すが、パフォーマンス的にはもう少し高めたい。
柳沢:7点:前線で攻撃の起点となる。
中村:7点:後半必ずスタミナ切れ。
中田:4点:攻守に中途半端。
松井:5点:運動量も多く合格点。
稲本:5点:高原同様復調示すが、パフォーマンスはまだまだ低い。
駒野:5点:攻守にまあまあというところか。
中田:4点:守備ではまあまあだが、センタリングが下手すぎ。また、ボランチではまったく機能せず。
茂庭:5点:無難にこなした。
田中:5点:無難にこなした。
土肥:5点:積極的なセービングも必要。
鈴木:2点:「・・・・・」。
大久:3点:役割を把握できていない。
本山:3点:流れ変えられず。
三都:3点:守備の下手さは致命的。
坪井:時間短評価外

この試合では、高原、柳沢、中村、が前線でボールキープできたので良かったが、後半パフォーマンスが落ちてキープできなくなると一転相手ペースとなった。途中投入された、大久保、鈴木、本山、はまったくボールキープできず相手に攻勢を許してしまった。やはり、攻撃の中心はFWだということが良くわかる。
4-4-2ダイアモンドシステムの場合、前線の三人もしくは二人がボールをキープして、左右MFがサイドからセンタリング、そのこぼれダマをトップ下の選手やボランチの選手がシュートするという「イングランド型」もしくは「数年前のマンチェスターU型」「数年前のユベントス型」が理想的だ。「数年前のマンチェスター型」とは、抜群のコンビネーションで得点力とキープ力をもっていた、コール、ヨーク、というFWがボールを前線でキープし、左右MFの、ギグス、ベッカムがセンタリング、FWもしくはボランチのキ-ンやスコールズが得点するという型だ。「数年前のユベントス型」とは、前線ワントップFWはストライカーで、FWデルピエロ、トップ下ジダンが前線でボールをキープし、左右MFダヴィッツ、コンテ、ディリービオ、ぺソット、ユーゴビッチ、あたりがサイドを突破するという型だ。ユベントスの場合、左右MFはサイドバックに近い役割を担っていた。両方に共通しているのは「サイドバックの攻撃回数は少ない」というところだ。つまるところ守備的なのである。
そのような理想型に今回のジーコジャパンを考えてみるとダメな部分がわかりやすい。まず、今回は前線の高原、柳沢、中村はボールキープできていたので合格だが、後半最後までもたなかったのがマイナス。左MF松井はスピードでサイドを突破していたが、左利きの選手ではないので効果的なセンタリングがなかったことがマイナス。中田英寿はこのポジションで要求される能力が持味ではないのでまったく機能していない。稲本はワンボランチだったので守備だけに専念して合格だが、まだまだスタミナ不足が目立つ。サイドバックもまあまあだった。失点はCKと3-5-2へ変更してからのものだった。
つまり、そもそも、今更「3-5-2」から「4-4-2」へ変更するのか?という疑問があるが、そこまでしてジーコが「4-4-2」にこだわるならばあえて批判はしない。しかし、「4-4-2」にするにも「ただ、海外組を寄せ集めても機能しない」といことを理解してもらいたい。

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【2007/01/10 23:38】 | ジーコジャパン試合 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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