ブラジル戦後、突然の引退発表を自身のHPに掲載した後は公で語らなかったヒデが独占インタビューに答えていた。彼のインタビューを聴いて気になったことは3つあった。
まずは、
「多くの応援してくれたファンに感謝しているけれども、すべての人に感謝するにはどうしたらいいのかわからない。どうやって自分の感謝の気持を伝えたらいいのか・・・」 と言っていたこと。しかし、それに対する答えは簡単です。皆が言っていることに耳を傾ければ答えはそこにあります。それは、 「Jに戻ってヒデが海外で得たものを伝える。日本代表の中心ではなくなり、スタメン出場がなくても、次世代の代表を陰で支える存在となる」 ということだと思います。引退してから恩返しすることも出来ますが、引退する前にも出来ること、やるべきことがあると思います。 次は、 「日本の選手は常に高い精神力をキープして毎試合戦うことができない。常に100%の力を出し切れない」 と言っていたことです。これは正しいと思います。まさに日本人選手の弱さはそこにあるわけですから。高原にしても中村にしても試合毎に波があるのは明らかです。つまり、ヒデが一番チームメイトに伝えたかったことは、 「大事なのは常に100%の力を出すこと」 なのだと思いました。確かに間違いではないです。しかし、だからと言って、ヒデが常に発言していた、 「戦術云々、システム云々ではない。それは関係ない。いかに個人が一対一で勝てるかが重要なのだ」 ということにはならないと思います。何故なら「選手が常に毎試合100%の力を出す」などということは不可能だからです。ですから、それを補うのが戦術やシステムであり、また、選手の力をより高く引き出すために存在するのが、戦術やシステムだと言えます。 ジーコとヒデはまだそこの認識が甘いのではないかと思います。コンディション100%、モチベーション100%、それなら良い試合ができるのは当たり前で、結局そうならない時にどうするのか?ということが重要だと思うのです。 W杯直前にコンディションやモチベーションが上がらない、もしくは下がってしまった。そういう時にものをいうのが積み上げてきた戦術・システム・連携ということなのです。これがチームの成熟度ということだと思います。 最後は、 「日本はDFラインが低いと良い試合ができない。DFラインを高く保っている時には良い試合をしている」 と言っていたことについて。これは日本代表という全体的な事というより、ヒデ個人が良いパフォーマンスを発揮できるのが、DFラインを高く保っている時、ということだと思います。でもそれはそうですよね。DFラインが常に押し上がっていれば、FWやMFは攻撃に参加できる回数が格段に増えますから。当然多くのチャンスを作り出せるわけです。 しかし、今回のW杯を見ても、DFラインを低くしても守り切れる国が勝ち残っていましたよね。イタリアはもちろんフランスもそうです。それから、DFラインを高く保てるかどうかは、 「DFの意識の問題ではなく、いかにMFやFWがボールキープできるか」 にかかっていると私は思います。ヒデや中村、高原や柳沢、彼らのボールキープ力が高ければ自然とDFラインは押し上がってくると思います。 FWやMFにボールキープ力が無いのに「もっと押し上げろ!ラインを高く保て!攻撃参加しろ!」と要求するのは無理があり、自殺行為とも言えます。 もしアレックスの攻撃参加を促したいならば、左サイドで、高原や中村やヒデがしっかりボールキープできていなければいけないし、最終ラインそのものを高い位置でキープさせたいならば、ボランチがスペースをしっかり埋めて、ボランチ主導で守備を統率していかなければならないわけです。 とまあ、彼のインタビューに対する共感度は40%ぐらいだったわけですが、一つ感じたのは、 「ヒデは理想のサッカーを知っているけれども、その実現方法は知らないのではないか?」 ということでした。彼のジレンマというものがそこにあるような気がしてなりません。引退して、選手ではない立場でサッカーを見た時、その方法に気づくかもしれません。ヒデが再びサッカーに戻ってくる時は、その時かもしれませんね。
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