21日7時から放送された久米宏のサッカー特番を見ました。いろんな人がいろんな立場でサッカーを語ってくれることは喜ばしいことですね。この特番でも新たにジーコジャパンの姿が見えたと思います。
先日放送されたテレビ朝日の中田英寿インタビューではヒデの立場から見たジーコジャパンでしたが、今回はジーコの代弁者的な立場で通訳の鈴木氏から見たジーコジャパンの姿を語っていたと思います。いくつかキーワードがあったと思うので、キーワードごとに分析してみたいと思います。
まずはオーストラリア戦の小野の交代投入について。 1、小野に対し特別な指示はなかった。セカンドボールをキープしたかったのだと思う。 2、ボールをキープして時間を費やすという意図を宮本は理解していた。 3、中澤が小野に前へ行って攻撃に参加してくれと言った。 4、小野自身は「福西さんを一人にしても大丈夫だと思って賭けにでた」と試合後コメントしていた。 5、中村は福西が一人になることを不安に感じていた。 これが鈴木氏や小野の見解やコメントだが、これを見てもあのとき相当混乱していたことがうかがえる。1はジーコの小野の投入意図だと思うが、どう見ても小野はヒデのあけたスペースを埋めるために投入されたとしか思えない。しかし、中澤と小野がそれを理解してなかったことは3と4からわかる。そしてヒデは別として、それを理解していた宮本と中村が小野に対し「ボランチの位置でプレーしろ」と指示だせなかったことも残念でならない。結局あの試合は全ての歯車が狂ってしまったということだろう。そして、その最初は川口のミスからだったことがわかる。 6、同点ゴールの場面。ロングスローの情報はあった。それに対する練習もしていた。しかし、練習では川口があのように飛び出す動きはしていなかった。 と鈴木通訳は語っていた。あそこまでスーパーセーブを連発していた川口が言ってみれば「調子に乗って」無理に飛び出してしまったのだ。過信がミスになり歯車を狂わす最初のダメージを与えてしまった。そしてヒデの守備を捨てた勝手な攻撃参加が2発目のダメージ。とどめは小野の状況を読めない無謀な賭けという攻撃参加だった。それで3失点。当然と言えば当然の結果かもしれない・・・。 次はジーコの哲学について。 1、「規律で選手をしばれるというのは机上の空論だ。選手の自主性を育てるのが一番大事」 2、「日本に自由はまだ早い」ということはない。 3、「若い選手を成長させ一流プレーヤーにすること、日本第表を機能させることが私の仕事。スター選手が必要だ」 1と3はジーコの言葉。2はクラマー氏の言葉。1と2はジーコらしい言葉だなと感じました。自身が天才プレーヤーだったことをよく反映した発言だと思います。ジーコにとって規律などというものは自分のクリエイティブなプレーを邪魔するものでしかなかったのでしょう。しかし、これでなぜジーコが現役だったブラジル代表がW杯で優勝できなかったのか察し得ますよね。天才には凡人がなぜ出来ないのか理解できない。つまり、天才型選手に名監督はなし、ということなのだと思います。 2のクラマー氏の発言ですが、0か100かという話をしてはいけないと思うのです。自由か規律か?という二元論ではなく、自由と規律の比率の問題だと思います。80%自由&20%規律、でやるのか、20%自由&80%規律でやるのかということだと思います。100%規律、100%自由、というサッカーなど有り得ないですよね。極論で語るからおかしくなってしまうのだと思います。 また3のジーコの発言ですが、日本代表を機能させることは残念ながら出来ませんでしたね。若い選手も育てられたかどうか・・・。スター選手も・・・。 そしてジーコとヒデについて。 1、規律を重視したトルシエサッカーに疑問をもち、ヒデは日韓W杯後に代表を引退しようとしたが、自由を重んじるジーコに説得されて続けることにした。 2、ヒデは完全に浮いていた。食事も一人でいるかスタッフとしていた。 3、ジーコは若き頃の自分とヒデを重ね合わせていた? 鈴木氏の発言からもヒデが完全にチームから浮いていたことがわかります。ジーコはヒデと自分を重ね合わせ、当初はヒデ寄りの立場だったようだが、最後はそうではなかったと私はみています。ジーコもヒデに「伝え方」や「チームでの在り方」についてアドバイスしていたようだが、ヒデはジーコまでも拒絶してしまったようだ。それは次のクロアチア戦でもわかる。 クロアチア戦。 1、今まで一度もヒデに注文をつけることはなかったが、ヒデには前へ出過ぎないよう指示を出していた。 2、相手ボールになった時はプレスをかけて奪うことはせず、一度全員引いて守り、そこから組み立てなおすようにする。 ジーコはこのように指示を出していたという。確かにこの試合、ヒデはあまり前へ上がらずボランチとして良い守備をしていたし、ミドルシュートの意識も高く良かった。しかし、先日のインタビューでは「ラインを高く保つべきだ」と強く主張して譲らない頑なな態度だった。つまり、ヒデはクロアチア戦でのジーコ指示に渋々従がっていたということだ。しかし試合はジーコの意図通り、ピンチは再三あったものの結局狙い通り失点もなかった。もし柳沢のシュートが決まっていればジーコが正しかったということになったかもしれない。 最後のブラジル戦。鈴木氏の話だと、ブラジルのスタメンはジーコ予想外だったようですね。若手を5人も起用してきたことで危険だと感じていたようです。そして、スタメン起用を決めていた玉田には個人的に相当激を飛ばしたようです。それがあの得点につながったかどうかはわかりませんが・・・。 しかし、やはりジーコジャパンは様々な問題を抱えてたことが次から次に露顕してきますね。我々が想像していた以上に難しい内部状態だったのかもしれません。 自分と重ね合わせ完全に信頼していたヒデには失望したことでしょう。結局ヒデはトルシエとも反発し、ジーコとも反発し、仲間とも反発し合っていたということですよね。これは残念ながら少々人間性に問題があると言わざるえないと思います。リーダーなんてとんでもない絵空事だったということですね。ジーコはインタビューで、 「ここの白髪は小笠原、ここは中村、ここはヒデ、それぞれ名前があるんだ」 なんて冗談を言っていましたが、トップの選手を集めた代表をまとめるのがどれだけ大変なのかわかるような気がします。だからこそ代表監督には豊富な経験や卓越した理論や哲学が必要なのでしょう。
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