トレンド(流行り)
オシムの発言の中に「トレンド」という言葉が出ていました。当然のことながら、サッカーにも「トレンド=流行のスタイル」というものがあるわけです。
ジーコなどがまだ現役の頃は、比較的中盤が自由な南米スタイルと、組織的な守備からのカウンターを主とした欧州スタイルとに二分されていました。

しかし、現在、ドリブルとショートパスで相手を個人技で崩していく南米スタイルは一部の南米国を残して姿を消してしまっています。今年のドイツW杯でも、そのようなスタイルの国は、大雑把に言って皆無だったと言えます。

サッカーの世界もグローバル化が進み、もはや現在は欧州スタイルが「トレンド」となっています。ブラジルやアルゼンチンなど南米を代表する国であっても、ゾーンプレスやタッチ数の少ない攻撃というものが主流となっています。

また、「3−5−2」というシステムを採用する国やクラブも少なくなりました。Jリーグではまだ「3−5−2」を採用するクラブ(特に上位クラブ)が多いですが、世界の「トレンド」は「4−4−2」へと大きく傾いています。「4−4−2」ではなくても「4−3−3」や「4−5−1」といったように、4バックを採用するのが今の「トレンド」となっています。

オシムがジェフで使い慣れた「3−5−2」ではなく「4−4−2」を採用してきたことは少なからず驚きでしたが、オシムが今のサッカー界の「トレンド」というものを強く意識しているとしたら、何も驚くことはないのかもしれません。

また、オシムサッカーの代名詞にもなっている「走るサッカー」も、最新の「トレンド」だと言えます。今現在名将と呼ばれる監督の多くは、この「走る」という「トレンド」の信奉者でもあります。間違いを恐れず記すならば、カペッロが唯一役割分担型のポジションサッカーをしているのではないでしょうか。

とにかく今のサッカーの「トレンド」は「つぶし」にあります。今一番活気のあるリーグがプレミアであることを考えても察しがつきます。相手よりも多く走り、フィジカルに競り負けない。まずは相手の良い所を「つぶし」、スペースと時間を与えない。そうすることで相手のミスを誘い、ボールを奪ったらできるだけ時間をかけずにゴールを奪う。これが現在のサッカー界の「トレンド」スタイルです。

「美しさよりも勝利が大事」オシムの言葉ですが、これは端的に今を表しています。先日横浜Fマリノスの岡田氏が監督を辞任しましたが、その理由の一つのこのような理由がありました。それは、岡田氏は「勝利にこだわる」、ということを望んでいました。もちろんそれが本心かどうかはわかりません。その理由については「岡田監督辞任」の中で記しました。
そして、マリノス側のフロントはそうではありませんでした。「勝利よりもお客さんを呼べるサッカーをしてほしい」これがフロント側の要求でした。

「結果重視」か「営業」か?ということについて昨日にも記しましたが、今のサッカー界はこの問題で大きく揺れているとも言えます。W杯出場枠、世界クラブ選手権(前トヨタカップ)なども同様の問題を含んでいます。

しかし、現在の「トレンド」はオシム監督の言うように「美しさよりも勝利」というものになっています。つまりそれは、相手をいかに「つぶす」のか、ということになり、そして、守備偏重になるわけです。

そうなってくると、当然、守備をしない選手は除外されていきます。ですから、中村や小野なども守備に頑張っているわけですね。しかし、「トレンド」、というものが正しいとは限りません。今は熱狂的に支持されていても、歴史として振りかえってみたときには、あれは間違いだったとなることもあります。

「トレンド=流行り」は慎重にならなければなりません。フィーバーの後には砂塵が舞うこともあります。サッカー界は今の「トレンド」を経て、どう進化、または退化するのでしょうか? 期待もあり不安もあります。

「乗り遅れない」ということも大事ですが、本質がどこにあるのか見極めないと、慌てて逆方向の電車に乗ってしまうかもしれませんね。

【2006/08/31 00:20】 | オシムジャパン考察 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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