守備方法 「2つのプレス」
Jリーグでも組織的な守備プレスを志向しているクラブが増えていますが、
その方法において少し中途半端になっているクラブが幾つかありましたので、
簡単にではありますがその守備方法について考察してみたいと思います。

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1 誘い込み型

守備的な方法を採用する場合は「誘い込み型」を使います。この方法のまず第一は、人数の多少があっても、DFとMFで守備ブロックを作ることですが、その守備ブロックにおいて重要なのが「等間隔」ということです。横にコンパクトにするか否かはともかく、重要なのは守備ブロックを形成している選手たちが、常に等間隔を保ってポジショニングしていることにあります。もし横の等間隔が失われていれば、その間を使われてしまいますし、MFとDFの間の等間隔が失われていれば、そのMFとDFの間を使われてしまいます。この守備が崩れる最も多いパターンは、DFラインとMFラインのコンパクト性が失われて、ブロックが間延びしてしまうことにあります。要するに、守備ブロックを形成しているMFとDFが、いかにブロック性とコンパクト性を保っていられるのか、それが重要ということになります。
そして、この方法における前線の選手のプレス方法ですが、ボール奪いにいくプレスではなく、相手に良いパスを出させない、判断の時間を与えない、そのような目的でのプレスとなります。おそらく前線は2枚ないし3枚程度で、残りの7〜8人が守備ブロックを形成していると思いますので、その前線の2〜3人で相手のボール保持者に対して常にチェックにいきます。但し、がむしゃらにプレスをかける必要はありません。前線の選手は反撃時に備えて攻撃の準備をしていなければなりませんから、相手になるべく時間的な余裕を与えない、という程度で構いません。しかし、このチェックというのは重要で、必ず行う必要があり、その動きが「誘い水」になります。この前線の選手のチェックによって、精度の高いパスを出させない、考える時間を与えない、味方が守備ブロックを整える時間を作る(相手の攻撃を遅らせる)、パスコースを少し削る、ということが機能性をも握っています。
従って「誘い込み型」の場合は、守備ブロックの統率性と前線選手の効果的なボール保持者に対するチェック、というものが重要となってきます。但し、もちろん、守備ブロックにおいて、ただ漠然と人数を揃えていれば良いということではなく、そこでは対人守備の強さとカバーリングの意識の高さ、そして、攻守の切り替えの速さ、というものも必要とされてきます。


2 「波状型」

相手にボールが渡った瞬間から、相手のボールを奪うことを目的とした、攻撃的な守備方法のことです。この方法で重要なのは、攻守の切り替え(特に攻撃選手)の速さと連動性になります。まず第一歩はFWの守備ということになります。相手にボールが渡った瞬間から、FWがまず第一波としてボールを奪いにいきます。そして、その間に他のFWやMFがボールサイドへ素早く集まり、第一波の選手が限定したパスコースを見極め、どの選手にボールが出される可能性が高いかを判断し、パスが出される選手のところへ、第二波、第三派、と次々にプレスをかけて、ボールを奪います。この守備方法は、相手に正確なロングボールを蹴られてしまったり、先手先手でパスを回されたり、対人守備のところで競り負けたりすると、全く機能しない方法なので、前線の選手に、攻撃だけではなく、高い対人守備能力と判断力が必要とされます。また、ボールを奪った後にすぐさまボールを失ってしまっては意味が無いので、1人1人の高いボールキープ力と全選手によるパスワークの巧みさ、というものも必要とされてきます。つまり「誘い込み型」と比べて「波状型」は高いレベルの守備方法であると言えます。
そして、この方法におけるDFとボランチの動きについてですが、基本的にはラインを作って高いポジショニングをしている必要があります。場合によっては、アンカーの選手でもDFの選手でも、前線のプレスと連動して、第四波、第五波、となり積極的に前へボールを奪いに出る必要があります。しかし、明らかに前線でのプレスが機能しなかった場合、相手にそこを突破されてしまった場合には、しっかりラインを保ちつつ、少しづつ相手の攻撃を遅らせながらラインを下げ、前に出てしまった選手たちが戻るまのでの時間を作る必要があります。そこにはDF選手の統率者として、巧みなDFラインのコントロールができる選手が必要となります。


○ まとめ

どちらの守備方法を選択するのか、それはチームの戦力の問題、そして、試合の状況によって異なってくると思います。戦力的に劣っていることが否めない、守備的に戦うべき必要がある試合である、その場合には「誘い込み型」。戦力的に相手を上回っていると判断できる、攻撃的に戦うべき必要がある試合である、その場合には「波状型」。基本的にはそう考えることができます。しかし、この2つの守備方法を試合によって使い分けるというのは、かなりのハイレベルなことでありますので、そういう意味では、戦力を判断した上で恒常的にどちらかの守備方法を成熟させてゆく方が、チームとして結果が出せるサッカーになるのではないかと思います。


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【2008/04/29 11:48】 | システム・戦術論 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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